障がい者ママの子育て工夫:抱っこできない私の関わり方

障がいがあると、抱っこや授乳、入浴などの育児で思い通りに動けない場面が増え、「私は母親として十分なのだろうか」と不安になることもあります。

しかし、障がい者ママだからこそできる関わり方や工夫、周囲のサポートを活用すれば、子どもとの絆は十分に育めます。


この記事では、抱っこできない悩みへの向き合い方、実際の工夫や便利グッズ、家族との協力方法、そして障がい者ママならではの喜びまで、具体例を交えて解説。

読むことで、あなた自身に合った「できる子育ての形」が見つかり、安心して親子の時間を楽しむヒントになります。


障がい者ママの子育ては「できないこと」から始まる

子育ては、どんなママにとっても初めての連続です。

でも、体に障がいを持つママの場合、「できないこと」が最初に立ちはだかります。

それは努力不足ではなく、身体の動きに制限がある現実。

それを受け入れることから、障がい者ママの子育ては始まります。


子どもを抱っこできない不安と葛藤

「泣いている赤ちゃんを抱きしめたい」――その気持ちは、誰よりも強い。

けれど、腕に力が入らなかったり、バランスをとるのが難しかったりして、思うように抱っこができない。


最初の頃は、自分が母親として失格なのではと感じたこともあります。

しかし、抱っこだけが愛情の証ではないと気づいた瞬間、少しずつ心が軽くなりました。


目を見て話しかける、手をそっと握る、子どもの笑顔を見て一緒に笑う――

そのひとつひとつが、ちゃんと「抱っこ」と同じくらいの愛情表現。


できないことを責めるのではなく、自分なりの方法で“つながる”。

その発想の転換こそ、障がい者ママが見つける新しい子育ての形です。


「普通の子育て」ができないと感じた瞬間

SNSやテレビで見る「理想のママ像」。

軽々と子どもを抱き上げ、公園で走り回る姿はまぶしく見えるもの。

けれど、それと同じようにしようとすると、心も体もすぐに限界を迎えます。


「普通の子育て」ができない現実を突きつけられるたび、

焦りや悲しみが押し寄せ、心がざわつくこともありました。


でもある日、我が子が「ママの声が好き」と言ってくれたのです。

その言葉が、世界を少し変えてくれました。


子どもにとって“普通”は、ママと一緒に笑える時間のこと。

どんな形でも、そばにいることが一番の安心なのだと気づきました。


「普通」ではなく、「わたしらしい子育て」でいい。

そう思えた瞬間、できないことの先に新しい希望が見えてきたのです。


周囲の目線や世間のイメージとのギャップ

障がい者ママにとって、いちばんつらいのは「周囲の目」かもしれません。

スーパーでベビーカーを押すとき、手伝おうと声をかけてくれる人もいれば、

遠くから好奇の目で見つめる人もいます。


「大変そうね」「かわいそう」と言われるたびに、

自分の子育てが特別なもののように感じて、心がチクッと痛む。

でも実際には、笑ったり悩んだり、他のママと同じ日々を過ごしています。


障がいがあっても、親としての愛情や責任は何ひとつ変わらない。

それを知ってほしい――その想いが、今では私の発信の原動力になっています。

周りに理解が広がれば、障がい者ママが安心して子育てできる社会が近づくはず。


「できないこと」から始まる育児は、決してマイナスではありません。

工夫と愛情で満ちた、もうひとつの“子育ての形”がここにあります。


障がいがあっても、子どもと心をつなぐ方法

どんなママでも、「どうすればもっと子どもと心が通じるのだろう」と悩む瞬間があります。

障がいがあると、その悩みはさらに深くなりがちです。


でも大切なのは、“できないこと”ではなく、“できる方法を見つける力”。

抱っこが難しくても、スキンシップや言葉、表情で、子どもと心をつなぐことができます。


抱っこできなくても伝わる「ぬくもり」

抱っこは、子どもに安心を与える大切な行為です。

けれど、体が思うように動かせないママにとって、それは大きな壁。

それでも、ぬくもりを伝える手段はたくさんあります。


たとえば、子どもの手をそっと包み込む。

一緒に歌を口ずさむ。

同じ布団で隣に寝て、息づかいを感じる。

そんな小さな時間の積み重ねが、子どもの心に「ママはそばにいる」という安心を残します。


私自身、腕で抱けなくても、まなざしで包み込むことを意識してきました。

子どもが泣くたびに、目を合わせて「大丈夫」と伝える。

その瞬間、抱っこよりも深い“心のぬくもり”が通い合う気がします。


声かけ・視線・笑顔でできるスキンシップ

スキンシップは、触れることだけではありません。

声のトーンや表情、視線の動きも立派なコミュニケーションです。


たとえば、寝かしつけのとき。

「おやすみ」とやさしく声をかけるだけで、子どもは安心します。

また、できるだけ目線を合わせることも大切。

目が合うことで、言葉以上のメッセージが伝わるのです。


笑顔も、最高のスキンシップ。

子どもはママの笑顔が大好きで、それを見るだけで満たされた気持ちになります。


「できない動作」を補うように、「できる表情」で伝える――

それは障がい者ママにしかできない、特別なコミュニケーションかもしれません。


家族や仲間と協力して「チーム育児」に

障がいがあると、すべてを一人でこなすのは難しい。

だからこそ、「チーム育児」という考え方が大切です。


家族や友人、支援員、地域の人たちに協力してもらいながら、みんなで子どもを育てる。

私の場合、赤ちゃんの頃は抱っこを家族にお願いし、

その代わりに「声であやす」「絵本を読む」など、自分にできる関わりを大切にしました。


頼ることは、決して弱さではありません。

むしろ、子どもに「人を信じ、支え合うことの大切さ」を教えるきっかけになります。

チームで育てると、子どもの世界も広がります。


ママの代わりに抱いてくれた人も、子どもにとって“安心の輪”の一部。

その中で、子どもは多様な愛に包まれながら、たくましく育っていきます。


障がい者ママの子育ては、制限があるようで、実は可能性に満ちています。

抱っこできなくても、伝えられる「愛のかたち」は無限。

自分にできる方法を少しずつ見つけていけば、子どもとの心の距離は必ず縮まります。


実際の子育て工夫:私のやり方を紹介

「どうやって毎日を乗り越えればいいのか」と悩むママは多いはずです。

障がいがあると、抱っこや授乳、着替えやお風呂など、日々の生活に制約が出てきます。

でも、少しの工夫とサポートで、子どもとの時間はもっと安心で楽しいものに変わります。

ここでは、私が実際に取り入れてきた具体的な工夫を紹介します。


寝かしつけや着替えをサポートする便利グッズ

寝かしつけや着替えは、体の動きが制限されているママにとって大きな負担です。

でも、ちょっとした道具を使うだけで、その負担はぐっと減ります。


例えば、寝かしつけには抱っこ用のクッションやスリングを活用。

子どもを支えながら手を自由にできるので、ママの体への負担を軽減できます。

着替えでは、テーブルに赤ちゃんを寝かせて作業できるベビーベッドや補助グッズが役立ちます。


便利グッズは、単なる道具ではなく「できることを増やすパートナー」。

工夫次第で、ママが無理なく子どもに関われる環境が整います。


ミルク・食事・お風呂を「工夫」で乗り越える

授乳やミルク、お風呂も、体に制約があると難しい場面です。

でも、工夫を重ねることで、子どもとの時間は安心感で満たされます。


ミルクは、哺乳瓶を家族に任せる一方で、隣で声をかけながら見守る。

お風呂も、一人で抱っこせず、パートナーと役割を分担して安全に入れる。

こうした工夫により、ママは無理なく関わりながら、子どもに安心感を届けられます。


大切なのは、「完璧にやろう」と思わないこと。

できることとできないことを分け、工夫で補う姿勢が、子どもとの信頼関係を育みます。


障がい者ママだからこそ見えた子育ての喜び

子育ては、できないことばかりに目が向きがちです。

でも、制約があるからこそ気づける喜びや学びもたくさんあります。

この章では、障がい者ママだからこそ感じられる子育ての幸せをお伝えします。


「できないこと」より「一緒に笑える瞬間」

抱っこや授乳が難しい日も、子どもと笑い合える瞬間は必ずあります。

目を合わせて笑顔で声をかける、手を握ってそばにいる、そんな小さな行為が、子どもには大きな安心感に。

「できないこと」に囚われず、「一緒に笑える時間」を意識することで、日々の子育てが温かく変わります。


子どもが笑うたび、ママも笑顔に。

制約があるからこそ、一つ一つの瞬間が特別で、かけがえのない宝物になります。


子どもの成長が自分の希望になる

体に制約があると、子どもの成長を間近で支えることが難しい場面もあります。

それでも、少しずつできることが増える姿を見守る喜びは、ママの希望になります。


「できないけれど、見守ることはできる」

その気づきが、ママ自身の自信や前向きな気持ちにつながるのです。

子どもの成長が、ママにとって生きる力や勇気になる瞬間も多くあります。


諦めることで見えてくる新しい関わり方

抱っこや授乳が難しい現実を受け入れると、別の関わり方が見えてきます。

声や視線で安心感を伝える、遊びや触れ合いを工夫する、家族や仲間と協力する…

諦めることは、決して悲しいことではなく、新しい可能性を見つけるきっかけです。


障がいがあるからこそ、ママと子どもは柔軟で独自の絆を築けます。

制約を受け入れることで、子育てはより豊かで、温かいものになります。


障がい者ママの子育ては、「できないこと」ばかりが目立つように思えるかもしれません。

でも、笑い合う時間、子どもの成長を感じる喜び、諦めを通じて生まれる新しい関わり方…

制約の中にこそ、親子の絆を深める大切な瞬間が詰まっています。


社会に伝えたいこと:障がい者ママのリアルな声

障がいがあると、子育ての現実は多くの制約や課題と隣り合わせです。

しかし、サポートや理解があれば、安心して育児ができることも事実です。

ここでは、障がい者ママとして感じた社会の課題と、伝えたい想いをまとめます。


サポート体制や制度をもっと身近に

障がい者ママが安心して子育てを続けるには、制度やサービスの存在が欠かせません。

家事援助、育児サポート、家庭訪問など、利用できるものは多くあります。

でも、知らなかったり利用のハードルが高かったりすると、十分に活用できないのが現実。


制度やサービスは、ママと子どもを支える大切な「助けの手」。

もっと身近で分かりやすく、気軽に相談できる環境が求められます。


理解者がいるだけで育児は変わる

家族や友人、地域のサポートがあるかどうかで、育児の安心感は大きく変わります。

ちょっとした声かけや手伝いが、ママの負担を減らし、心に余裕を生む。

一人で抱え込まず、頼れる人がいることで、子どもとの時間も充実します。


理解者の存在は、障がい者ママにとって「育てやすい環境」を作る重要な要素です。

誰かと支え合うことで、子どもも多様な大人との関わりを経験でき、豊かな成長につながります。


偏見をなくし、誰もが育てやすい社会へ

障がいを持つママに対する偏見や誤解は、まだ少なくありません。

「母親失格ではないか」と感じる瞬間や、周囲の目を気にする不安も生まれます。

社会が変わるには、まず「理解」と「受け入れ」が必要です。


障がい者ママのリアルな声を届けることで、育児は一人の力だけでなく、地域や社会全体で支えるものだと広まります。

みんなが安心して子育てできる社会は、障がいの有無に関わらず、すべての家庭にとって大切な環境。

偏見をなくし、サポートの輪を広げることが、子どもにとってもママにとっても豊かな育ちを生みます。


まとめ:抱っこできなくても「愛する力」は変わらない

障がいがあると、子育ての現実は制約や不安でいっぱいになります。

抱っこや授乳が思うようにできない日々、「自分は母親として十分なのだろうか」と悩む瞬間も少なくありません。

しかし、子どもが求めているのは完璧なお世話ではなく、安心できる愛情です。


自分のペースで、子どもとの絆を育もう

制約があっても、声かけや視線、笑顔、工夫やサポートを通じて子どもとつながることは可能です。

家族や仲間と協力して「チーム育児」を作ることで、ママの負担も軽く、子どもとの時間がより充実します。


焦らず、自分のペースで歩むことが大切。

抱っこや授乳が難しいときも、声や表情で伝える愛情は十分に子どもに届きます。

「できないこと」に目を奪われず、「できること」を意識することで、日々の育児が温かく変わります。


愛情は、形にこだわらなくても伝わる

障がい者ママにしかできない関わり方があることを忘れないでください。

抱っこできない、授乳が難しい、入浴を一人でできない…。

でも、それでも愛情は十分に伝わります。


声かけ、見守る時間、笑顔、手を握る、そんな小さな行為の積み重ねが、子どもに安心と信頼を届けます。


諦めることは、新しい可能性を見つけるきっかけ。

障がい者ママだからこそ感じられる子育ての喜びや学びも存在します。


子育ては完璧である必要はありません。

障がいがあっても、抱っこできなくても、愛する力は変わらない。

自分に合った関わり方で、子どもとの絆を育み、親子で一緒に成長する時間を楽しむことが、何より大切です。

脳性麻痺ライター・著者 東谷瞳  |障害と生きる日々

障害のある私だからこそ伝えられる…そんな想いを発信するホームページです。

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