7.外に出たら、世界の方が変わっていった

「外に出ると、何かが変わる」

そう言われても、正直、最初はあまりピンとこなかった。

不安のほうが大きかったからだ。

ちゃんと行けるだろうか。

迷惑をかけないだろうか。

嫌な思いをしないだろうか。

頭の中には、できない理由がいくつも浮かんでくる。

それでも、思い切って外に出てみた。

すると、変わったのは自分だけではなかった。

世界のほうが、少しだけ変わった。

何度か通っていたお店の駐車場。

最初は砂利で、車椅子では動きにくかった。

でも、通い続けているうちに、そこがアスファルトに変わった。

誰かが声を上げたのかもしれない。

お店の人が気づいたのかもしれない。

理由はわからない。

でも確かに、「通っていたから起きた変化」だった。

またあるときは、交通機関を使う中で、周りの人が自然に手を貸してくれた。

時間を少しだけ止めてくれる人。

何も言わずに支えてくれる人。

もちろん、すべてがうまくいくわけではない。

断られることもあるし、冷たい反応をされることもある。

でも、それだけではなかった。

優しさに触れる瞬間も、確かにあった。

その積み重ねが、「外に出る」という行動の意味を少しずつ変えていく。

最初は、自分のためだった。

行きたいから行く。

やってみたいから動く。

でも、気づけばそれが、周りにも影響していた。

環境が少し変わる。

人の意識が少し変わる。

そして、その変化がまた、次の誰かの動きやすさにつながっていく。

そう考えると、「外に出る」という行動は、ただの個人の選択ではないのかもしれない。

社会の中に、小さな変化を起こしていく一歩でもある。

もちろん、そんな大きなことを考えて外に出ているわけではない。

ただ、「行きたい」と思ったから動いただけ。

でも、そのシンプルな動機が、結果として何かを動かしていく。

それが、少し不思議で、少しうれしい。

外に出る前は、「自分が変わらなきゃ」と思っていた。

もっとできるようにならなきゃ。

迷惑をかけないようにしなきゃ。

でも、実際に動いてみると、

「世界のほうも変わっていいんだ」と思えた。

完璧じゃなくていい。

準備が足りなくてもいい。

まずは、そこに行ってみること。

その一歩が、思っている以上にいろんなものを動かしていく。

変わるのは、自分だけじゃない。

外に出たとき、世界のほうが、少しだけ動き出すのかもしれない。

脳性麻痺ライター・著者 東谷瞳  |障害と生きる日々

障害のある私だからこそ伝えられる…そんな想いを発信するホームページです。

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