はじめに

言語障害はまだ十分に理解されていない障害のひとつです。発音や理解に困難を抱えることで、日常や仕事で思わぬ壁にぶつかることがあります。本記事では実際の体験談を交えながら、言語障害の種類や原因、リハビリ、生活の工夫について解説します。

言語障害の種類と特徴

言語障害は「単に話しにくい」だけではなく、言葉を理解したり、発音したり、表現すること全般に関わる幅広い概念です。厚生労働省の認定基準によれば、主に以下の3種類に分類されます。

舌・口唇・口蓋・咽頭といった発声器官の機能障害により、発音が不明瞭になり、相手に伝わりにくくなる障害です。日常会話や教育現場で誤解が生じやすく、ストレスとなることがあります。

大脳の言語中枢に後天的損傷が生じ、一度獲得した言語能力が部分的または全体的に失われる状態です。脳卒中や外傷性脳損傷が原因となることが多く、本人・家族への心理的影響も大きいです。

先天性・後天性の聴覚障害により、音声言語の理解や発音が困難になる場合があります。補聴器や人工内耳の普及で改善する場合もありますが、依然として会話に入れないなどの困難があります。

教育現場では、吃音や言語発達の遅れも含め、広い意味で言語障害として扱われます。

脳や神経の発達異常、構音器官の形成不全などが原因で発達性言語障害や自閉スペクトラム症に伴う場合があります。

脳卒中、外傷、脳腫瘍などによって言語機能が損なわれる場合です。特に高齢者では失語症が多く、継続的なリハビリが必要です。

家庭や教育環境が不十分な場合、発語の遅れや心理的ストレスにつながることがあります。人前で話したくないと感じる二次的な困難も生じます。

言語聴覚士によるリハビリが中心です。構音障害・失語症・吃音に応じて発音練習や会話訓練、文字・画像補助などが行われます。スマホやタブレットの支援アプリも活用できます。

言語障害は目立ちにくく、教師や同級生から性格的におとなしいと誤解されることがあります。早期理解・配慮が重要です。

小学校時代のからかいや発表時の緊張、職場での電話応対の困難など、実際の体験から、安心感やサポートの重要性がわかります。

本人の言葉に耳を傾け、非言語的要素も含めて理解することが大切です。介助に頼りすぎず、本人とのやり取りを尊重します。

言語障害は日常生活や人間関係、自己肯定感に影響します。しかし、ちょっとした理解や支えが安心感を生み、社会参加を続ける力になります。まずは目を見て耳を傾けることから始めましょう。