脳性麻痺・後天性障害にも対応!上肢障害をサポートするリハビリと工夫の実例|作業療法ガイドライン
上肢障害があると、「文字を書くのが大変」「食事に時間がかかる」「印鑑を押すのも一苦労」といった悩みが日常に影響します。ですが、作業療法ガイドラインでも示されているように、適切なリハビリや環境調整、生活便利用具(自助具)の活用によって、できることを大きく広げることが可能です。
本記事では、筋力や協調運動を高めるリハビリの方法、実際に役立つ便利グッズ、そして著者である東谷瞳の体験談から生まれたユニークな工夫までをわかりやすく紹介します。上肢障害と向き合う方やご家族にとって、「できない」を「できる」に変えるヒントが必ず見つかります。
上肢障害に役立つリハビリと専門的な工夫
上肢障害は、手や腕の動きに制限がある状態で、食事や文字を書く、物を持つなどの日常生活に影響を及ぼします。しかし、適切なリハビリや専門的な工夫を取り入れることで、できることを増やすことが可能です。ここでは、手や腕の動きを改善するリハビリ方法について詳しく解説します。
筋力トレーニングで手や腕の動きを改善
上肢障害とは、手や腕の動きが不自由な状態のことです。リハビリでは、手首や指、腕の筋力を高めるトレーニングが基本となります。筋力を鍛えることで、物をつかむ力や文字を書く力が向上し、日常生活がよりスムーズになります。
理学療法士や作業療法士は、まず患者さんの手や腕の動きを評価し、どの筋肉が弱いか、どの動きが難しいかを確認します。評価結果に基づき、個人に合った筋力トレーニングメニューが作られます。具体的には以下の通りです。
小さなボールを握る握力強化
スポンジを押す手の力のトレーニング
手首を回す運動で柔軟性を向上
軽い抵抗を使った腕の運動
これらの運動を繰り返すことで、箸やペンの使用がしやすくなるなど、日常生活の動作が楽になります。
さらに、上肢の筋力向上はスポーツにも大きく役立ちます。
私・東谷瞳は、車椅子ツインバスケットボールという競技を行っていますが、上肢の力や細かな操作はプレーの質にも直結します。ツインバスケットボールは、一般の車椅子バスケットボールとは違い、重度障害者でも得点機会をつくれるよう工夫された「2つのゴール」を使う日本発祥のスポーツです。そこで、健常者と障害者が一緒に楽しめるスポーツの面白さや基本ルール、練習方法などをまとめたのが、以下の入門ガイドです👇
協調運動で手と目の連動を向上
上肢障害の改善には、筋力だけでなく協調運動(手と目の連動)のトレーニングも欠かせません。協調運動は、文字を書く、箸で食べ物をつかむ、ボタンを留めるなど、細かい日常動作をスムーズに行うために必要です。
手の動きを目で確認しながら操作する練習
片手で物をつかむ練習
細かい操作を繰り返すトレーニング
練習を続けることで、作業の正確さや速さが向上し、生活の自立度も高まります。
リハビリのコツ!無理せず楽しみながら続ける
リハビリの効果を高めるためには、毎日短時間でも続けることが重要です。無理をせず、楽しみながら行うことで、少しずつ成果が現れます。また、家庭でできる簡単な運動を専門家に相談しながら取り入れると、さらに効果的です。
例えば、ペットボトルを使った握力運動や、厚紙で作る簡単な手首ストレッチなどもおすすめです。ペットボトルや厚紙を使った方法を取り入れることで、上肢障害のリハビリ効果を最大限に活かし、日常生活での自立をサポートできます。
自助具の活用
上肢障害がある場合、リハビリだけでなく、自助具(生活便利用具)を活用することも重要です。自助具は、手や腕の動きを補助して、日常生活をより快適にするための道具です。
箸ぞうくんや茶碗ホルダー
手の震えや握力の低下がある場合、普通の箸や茶碗を使うのは大変です。「箸ぞうくん」は、握りやすい形状で、手の動きが不安定でも食べ物をつかみやすくなります。茶碗ホルダーを使うことで、茶碗が動きにくくなり、スムーズにご飯を食べられます。
Xスタンパーや囲い付きゴム印
書類に印鑑を押すのが難しい場合、手が震える、押す力が弱いなどの問題に対応するため、「Xスタンパー」や囲い付きゴム印を使うと簡単に印を押せます。
ストローや特別なペン
手が安定しない場合はストローで飲み物を補助したり、特別な形状のペンや鉛筆を使うと筆記がしやすくなります。スマホのメモ機能や音声入力も活用できます。
体験談から学ぶ生活の工夫
膝上に板を置いて筆記する方法
机の高さが合わず手や腕が安定しないとき、膝上に板を置くことで書きやすくなります。板の角度や高さを調整すれば疲れにくく、文字も整いやすくなります。
スマホのメモ機能を使った記録
手で書くのが難しい場合、スマホやタブレットの音声入力・文字入力を活用すると便利です。情報の整理やカテゴリー分けも簡単で、学習や仕事の効率が向上します。
遊びや子育てのヒントから生まれた発想
日常生活の工夫は、遊びや観察から生まれることもあります。例えば、ブロックを使って印鑑枠を作る工夫など、身近なものを活用するアイデアが生活の質を高めます。
体験談から学べる前向きな姿勢
「できないことがあるけれど工夫すればできる」という体験談は、本人だけでなく家族や周囲にとっても参考になります。小さな工夫の積み重ねが自信につながります。
障害の種類に合わせた工夫
脳性麻痺(痙直型/アテトーゼ型)の工夫
脳性麻痺は出生前後の脳損傷による障害で、手や腕の動きに特徴があります。
痙直型: 筋肉が硬くこわばり、動作が不自由になりやすい。板や補助具を使うことで筆記や食事がスムーズに。
アテトーゼ型: 意思に反して手や腕が動く不随意運動が特徴。補助具で手元を安定させ、リハビリで手と目の連動を意識する。
後天性障害(脳卒中・外傷)の工夫
片麻痺などの後天性障害は、生活の再学習が必要です。利き手を変えて練習したり、補助具を活用して生活の自立をサポートします。
障害の種類に応じた工夫
姿勢の工夫:膝上の板や机の高さ調整で手や腕を安定
道具の工夫:補助箸、茶碗ホルダー、特別なペンや印鑑など
リハビリの工夫:筋力や協調運動、感覚回復訓練
練習の工夫:生活の中で繰り返し練習し、できることを増やす
まとめ
脳性麻痺や後天性障害による上肢障害でも、日常生活は工夫次第で快適になります。膝上の板や机の高さ調整、箸ぞうくんや茶碗ホルダー、特別なペンや囲い付きゴム印などの自助具を活用することで、食事や筆記、印鑑押しがスムーズに行えます。
リハビリで筋力や協調運動を高めることも生活の自立度アップにつながります。さらに、スマホのメモ機能や遊びのアイデアを取り入れた工夫も効果的です。小さな工夫を重ねることで、「できない」を「できる」に変え、自分らしい毎日を楽しむ力が広がります。
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