8.「弱さがもたらしてくれるもの」

弱さをさらけ出すことは、一見恥ずかしいことであり、勇気のいることです。

だけど、弱さは、人間関係を深め、また広げてくれるものと確信しています。

私のモットーは「好きなことをする」ということです。

今まで、音楽やスポーツなど、面白そう!やってみたい!と思ったことは、すべて手を出してきました。仕事も、自分のできそうなことはやってみたいと思い、色んなことに挑戦してきました。

こうして色んなことに挑戦すればするほど、楽しみが増えるのと同時に、たくさんの「障害の壁」に出会います。

たとえば音楽。私は大学の頃、友人に誘われギターマンドリン部に入部し、マンドリンという楽器を弾いていました。

私は手が不自由なので、もちろん上手く弾けません。

上達していく周りの友人を見て悔しくて…

後輩に追い抜かれるのが恥ずかしくて…

人と同じようにできないことはわかっていても、心がついていきません。

「こんなに苦しいんだったら、やめてしまった方がマシだ。」

私は、何度も何度も弱音を吐いてしまいました。

でも部活の友人は、そんな私を必死になって何度も何度もとめてくれました。時には一緒に泣いてくれ、時には弱虫な私を励ましてくれました。

そんなことばかり繰り返していましたが、気がつくと、みんなと弾きたい、みんなと楽しみたいと、いつも部室でマンドリンを抱え練習しようとする自分がいました。

そんな私を、部活の友達はいつも応援してくれていたように思います。

また私だけでなく、部員それぞれが色々なことで悩み、みんなで支えあっていたように思います。

そんな中で4年間を過ごし、私は2つのことを強く感じました。

1つは、「一人一人の人間ってすごく小さくて弱い」ということ。

もう1つは、「そんな弱い人間同士でも、支えあえばびっくりするぐらい大きな力が生まれる」ということ。

私がもし、弾くこと難しいという障害の壁を感じて、マンドリンを弾くことを諦めていたとすれば、弱い自分をさらけ出すという恥ずかしさを避けることができたかもしれません。

だけど、友達というものがこれだけ大きな存在であることを実感することなどなかったでしょう。

弱さが人間同士の距離を縮めてくれることって、案外たくさんあるのかもしれません。

脳性麻痺ライター・著者 東谷瞳  |障害と生きる日々

これまでの活動を振り返って、一度まとめてみようと立ち上げたのがこのサイトです。ずいぶん昔の物から最近の想いまでお伝え出来れば幸いです。

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